【石村吹雪】

もう充分「ベテラン」と言って良い彼は、東京出身のシンガーソングライター。
基本的には、ギター一本の弾き語り。
独特の詞の世界とコード進行は、誰かに強く影響を受けた訳では無く、
むしろ外部からの刺激に左右される事無く、脈々と己の世界を構築して来た。
これは実際には稀有な例だ。
普通は多かれ少なかれ、その音楽の中に、誰かしらレジェンドの影が見え隠れするものだ。
だが、彼の音楽には誰の影も見えない。とにかく個性的でユニークだ。
石村吹雪は多作だ。とにかく持ち曲数がハンパない。
見たモノ、感じたモノを片っ端から曲にする。食べ物ネタから、野球ネタ、電車通勤ネタ、
ちょっとしたストーカー的な話しや、お気に入りの理髪店まで、出会い頭に何でも歌にしてしまう。
「愛の歌」「人生の歌」も結構多いが、その表現も独特でリアリティーに溢れ、そして説得力がある。
歌を楽しむとは、音楽を楽しむとは、こんな形もあるんじゃないですか?
とオーディエンスに提案し、共感を得ている。
※池袋フィールドのブログより抜粋
ホームページ(https://www.ishimurafubuki.com/)
【空前の灯火】
※歌詞カードはこちら(http://www.ishimurafubuki.com/cd47.php)
もっともっと時間があって、寝る間を惜しんで音楽を聴いていた若い頃のことは、当時聴いていた音楽が不意に耳に入るとともに、いとも簡単にフラッシュバックします。
そしてそれはなぜかだいたい、どうしようもなくみじめな思い出と重なっています。あるいは現実逃避のために、ただそこにあった音楽を繰り返し繰り返しきいていただけかもしれません。あの時、自分なりに絶望があって、この先の人生を悲観したはずなのに。思い出はいつの間にかぼんやりと美しく、こうして今元気に生きていることを不思議にさえ思います。
大好きだった音楽が、自分の記憶の栞になること、そして、そこにちょっとした慰めがあることに気がつきました。今の自分を救うのは、意外にも過去の自分の存在で、普段気にもしない忘れていた自分。そこにぐるっと回って辿り着いた驚きや喜び。それに、空前の灯火と名付けてみました。
こんな、売れてもいない人の音楽にも歴史があり、誰かの記憶の栞になっている場合だってありましょう。30年以上前の作品も混ぜましたが、今出会った人にとっては新しいもの。そんな生身の色合いを出すために、全編弾き語り形式の24曲。
→石村吹雪その他の作品はこちら。